ロエベは 2022 年春夏メンズコレクションを印刷物形式で発表した。
コレクションのテーマは心躍るような現実逃避、希望、そして楽観主義。
快楽主義的解放。このロエベのメンズコレクションには心躍るような親密さと人間味に溢れており、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソン は抽象的な形状を単純化し、弾けるような鮮やかな色が取り入れられている。
「夜遊び」というテーマは、現代絵画シーンで最もエキサイティングな新たな表現者 の一人であり、ニューヨークを拠点に活動するドイツ人芸術家の Florian Krewer（年生まれ） にインスパイアされたもの。自叙伝的ながらも、あからさまなストーリーや存在しない彼の作品は、見つけた写真及び自身で撮った写真が基になっている。深い黒や、くすんだ白、人工的な甘さを加えたピンクや紫や青と いった幅広い色使いの彼の絵画は、自由でありながらカオスなキャラクターが登場し、街の公共スペースで繰り広げられる衝突や欲望といったテーマを掘り下げて いる。
ドレーピングや計算された配置のカットアウトの隙間からのぞく肢体によって、動きの 中に解き放たれる性的な魅力。背面に金属の飾り板を配したコートや、複数の 透明なレイヤーへと非物質化したトップスは、 外に出るということを「歪み」という アイディアに変換。スパンコールが施されたアニマルプリントや全体に施された パイエットが残す無頓着でキッチュな痕跡。実用性とシンプルな狂気とを隣り合わせにすることで生まれる軽快でエネルギッシュなトーン。
ロゴを模様にした トレンチコート、レザーパーカー、ウエスト部分にギャザーをよせたジップアップコート、 そして大地を思わせるカラーのゆったりとしたカーゴショーツに合わせるのは、 ドレープチュニック、カットアウトを施したマルチレイヤーのジャンパー、オールイン ワン、そしてアクリルカラーのロープでできたスペースダイのネッカチーフトップスと パンツ。トップスとショートパンツ、またはトップスとパンツのセットアップは、プリントと装飾でゆがめられているのだ。
これらのルックを彩る小物類は、フォールドブーツ、サンダル、カラフルなスリッパ、 そしてスモールとミニで展開するバムバッグ。多面的なパズルバッグは、初となるしなやかなホーボースタイルと、スモールとミニの バムバッグスタイルで登場。ロールトップバックパックとバムバッグには、明るい ネオンピンクとアップルグリーンという配色のロエベ アナグラム ジャカードを採用。 そして、明るいカラーの丸メガネが活発さをさらに盛り上げてくれているのだ。
喜びと自由が顔を出すコレクションとなっている。
そして今回の発表に際してボックスセットで発表した中には2冊の本、ポスター4枚、暗闇で光る星のステッカー300枚、そして蛍光のイエローレザーのスラップブレスレットが入っていた。
M/M（Paris）がデザインした2冊の本は、このプロジェクトの展開の境界を明確にし、 コレクションの世界を拡大させている。
ジョナサン・アンダーソンが前書きを、そして美術評論家 が序文を 担当した 冊目には、 によるペインティングやドローイング、そして 滅多に見られない写真が収録されているのだ。 今回のコレクションのインスピレーション源となったキャラクターたちが登場するこれ らの作品は、キャラクターが実在する人物であるということを証明し、トリップしたよう な視点を通して見る、現実生活のドキュメントとしてこの本に独特の親密さを持たせている。
2冊目の本には、バスケットボールコートや岩の上、倉庫内や家屋といった様々な シチュエーションでコレクションのアイテムを纏ったキャラクターたちを、 David Sims（年生まれ、イギリス人の写真家）が撮影した抽象的なスナップショット が収録されており、異なる視覚的要素を融合させたり、組み合わせたりした パリンプセスト的な各シーンは、めまいがするような感覚を生み出しながらも、 緊張感を和らげてくれるような正直さも持ち合わせている。
今回起用された モデル陣には、プロだけでなく、マルセイユの街中でキャスティングされた新顔も 参加。 そしてこのプロジェクトの仕上げは、 のアートワーク、 の 写真、メンズランウェイコレクションのルックブックの各種イメージ、そしてウィメンズ プレコレクションのルックブックのイメージという、 4種類の折り込みポスター。
新しくも素晴らしい形式でのコレクション発表に心が踊らせられた。
