text: KOHEI YAMASHITA
いま、ファッションの世界で最も多くの視線を集めている都市、モスクワ。中でもカルチャーとアートの中心地として名高い歴史的な場所といえば、レッドスクエア(赤の広場)に位置するGUMショッピングセンターだろう。ここに、モンクレールの新たな旗艦店がオープンした。記念すべきグランドオープニングイベントでフィーチャーされたのは、過去2シーズンにわたりモンクレールの広告ビジュアルに起用された著名な中国人現代アーティスト、リウ・ボーリン氏。今回は彼に、自身のアートに対する思いやモンクレールとのコラボレーションについて、単独インタビューを敢行した。
Q. インスピレーションは何処から得ていますか?
私は彫刻と美術史を専攻していたため、作品制作においては主に3つの面からインスピレーションを得ています。まず初めに人類史、次いで中国社会の置かれている現実、最後に美術史そのものです。私のパフォーマンスには人間の尊重という側面と、肉体と色を使った表現が含まれています。よってインスピレーションの多くが世の中に対する知識と今起こっている現実の出来事へのジャッジからもたらされます。どの場所でパフォーマンスを行うかを決めるときは熟考を重ね、それを行う事が果たしてどのような意味を生むのかを考えます。
Q. 背景に溶け込む作品の時に特に気をつけている事は?
私のすべての作品の背景や、作り出す作品そのものに共通するのは、文化的かつ環境的であり、スピリチュアルであると同時に肉体的であるということです。さらには、人類そのものに対する問いかけという意味において、私にとって理にかなったものなのです。人間性の喪失と私が溶け込む背景との関係性は、私の作品において重要な意味合いを持っています。
Q. リウ氏にとってのアイデンティティとは?
中国人である私は、国籍、肌の色、置かれている歴史を取り巻く状況など、文化がもたらす変化こそがアイデンティティとなると考えます。中国人アーティストであることによって自分に何か制限がかけられていると感じた事はありません。思うに、アイデンティティとは、それを保有すると認識した時点で人に制限を設けるものではないでしょうか。今、私は自身を人類全体のスポークスマンであると認識しています。私はこれまで世界中で作品を発表してきました。つまり、私にとってアイデンティティとは、独立した1人の人間である、という事でしょう。
Q.初めてモンクレールのヴィジュアルに参加するのが決まった時のお気持ちは?
私がベニスで初期作品の為のシューティングを行なっていた頃、私の関心はグローバルエコロジー、地球温暖化、氷河、海、ヒューマンエコロジーの崩壊にありました。これら全てが私の作品における大きなテーマであり、モンクレールとのコラボレーションにおけるテーマにもなっています。モンクレールは非常に多くの面で私をサポートしてくれました。我々はアイスランドの氷河で撮影を行なったのですが、この経験は驚きとともに大きな興奮を私に与えてくれました。
Q.モスクワ初の旗艦店についてコメントを頂けないでしょうか?
モンクレールのモスクワ店はレッドスクエア(赤の広場)の一角に位置しています。この店舗のオープニングにスペシャルゲストとして登場させて頂き、ブランドとモスクワの街が歓喜に沸く瞬間に立ち会えたことは、とてもユニークな体験でした。
Moncler Moscow
3 Red Square, Ground Floor,
101000, Moscow.
TEL: +74955874287